
子供の頃から漫画が大好きで、「りぼん」を愛読し、「なかよし」で連載された「キャンディキャンディ」に夢中になり、「のだめカンタービレ」を大人買いしていました。

のだめ、懐かしい~
家にはマンガを置かないと、引っ越しで決めたはず。そんな私がイイ大人になってから惹かれた作品がありました。西炯子さんの「初恋の世界」です。
心に染みる傑作「初恋の世界」について、その魅力を書いていこうと思います。
「初恋の世界」との出会い
私が西炯子さんの「初恋の世界」に出会ったのは、大型書店での何気ないポップがきっかけでした。「今読みたい、大人も共感する恋愛ドラマ」という文言に惹かれ、手に取ったのが始まりです。
子供向け少女漫画から青年漫画まで様々な作品を読んできた私ですが、一度読み始めると止まらず、あっという間に当時出ていた分を揃え、以後は単行本出版待ちで、出たら買うという感じで次の出版が楽しみでした。今でも手元に置き、時々読み返す大切な作品となっています。
西炯子作品の魅力
西炯子さんは「娚の一生」「姉の結婚」など、大人の女性の複雑な感情や人間関係を描くことに長けた作家さんです。この2つの作品も大好きです。
「初恋の世界」のあらすじと見どころ
あらすじ
東京でカフェの店長を務めていた小松薫。40歳、独身。突然、故郷・角島の店舗への転勤が命じられ行くことに。それをきっかけに地元の同級生達との交流も再開するが、その肝心の転勤先の店には大きな問題が!?そして、薫の人生にも大きな転機が訪れてーー!?
見どころ
複雑な人間関係
主人公だけでなく、その周囲の人々も含めた複雑な人間関係が、現実味を持って展開されます。夫婦関係、親子関係、友人関係など、多角的な視点から「愛」というものを問い直しています。
4人の友達、それぞれの人間模様も読みごたえあります。私は「よっさん」の話が、泣けました。お嬢様からどんどん強くたくましくなっていく様子は、読んでいてスカッとしました。
葛藤の描写
「正しい選択とは何か」という問いに、簡単な答えを出さないストーリー展開が魅力的です。登場人物たちは皆、それぞれの立場で悩み、時に間違った選択をし、それでも前に進もうとします。
主人公については、揺れたり悩んだりが多く、時にそっちへ行かないでーと思うこともありました。このへん賛否あったみたいです。全部まとめて人間味があって面白いとも言えるのかもしれません。
小鳥遊(たかなし)が素敵
10歳下の彼、はじめは疑っていたけれど、いつしか恋に落ちた二人。私もこのカフェに行きたいと思いました。
大人の魅力も出して頼りがいを感じさせたと思えば、逆に子供っぽく拗ねたりする人。危うい時期を乗り越えて本当に良かった。
大家さんに癒される
優しく面倒を見てくれる大家さん。こんな大家さんいる部屋に住みたい。第二の母(祖母?)のような立ち位置でもあるけど、実の母はマダムっぽいから、キャラが違うかな。
二人の恋の行方を見守ってくれてる、実際はキューピットだったかも⁉
なぜ心に刺さるのか
還暦を過ぎた私がこの作品に心を奪われた理由は、単純な「青春の懐かしさ」だけではありません。むしろ、「初恋の世界」という本のタイトルだけなら、手に取っていなかったかもしれません。
中身はタイトルから想像していたのと違って、深みもあって、読むのもあっという間でした。

初恋の世界(15) (フラワーコミックスα)
まとめ:年齢を重ねた今だからこそ届く物語
西炯子さんの「初恋の世界」は、単なる恋愛漫画ではなく、人生における選択と後悔、愛の形の変化、そして自分自身との向き合い方を描いた深い作品です。
還暦を過ぎた今だからこそ、この作品の持つ深さと温かさを感じることができるのかもしれません。若い頃に読んだ漫画とはまた違った形で、「初恋の世界」は私の心に寄り添ってくれています。
このGWの間、読み返していました。漫画好きとして歩んできた長い道のりの中で、年齢を重ねても新たな感動を与えてくれる作品に出会えることは、本当に幸せなことだと感じています。